皆さんは「なぜ、庭木を剪定するの?」と思ったことはないでしょうか?庭木を剪定する理由と剪定によるトラブル、庭木の楽しみ方などご紹介いたします。

庭木とは

そもそも庭木とは、庭に植えられその環境で育っている樹木のことを言います。花壇の草花とは違い、葉の色や形、花などを観賞するほかに、実用性を求められることもあります。なので自分の庭に植えている木は庭木とよびます。



庭木と植木の違い

庭に植え込む目的で栽培し、仕立てた樹木を植木とよびます。その植木を庭に植え込んだものを庭木といいます。

庭木を剪定する5つの目的

「なぜ、庭木を剪定するの?」と思っている皆さん、実は庭木を剪定する5つの目的があります。

剪定の5つの目的

1. 庭木の機能を守る

庭木には、目隠しや日よけ、風よけなどの機能があります。鑑賞や収穫目的の庭木なら、花や実がしっかりつくようにすることや、美しい姿を保つことも機能維持といえるでしょう。機能を維持し発揮させるためには、剪定や整枝が欠かせません。

2. 花や果実をつけさせる

樹木は剪定をしなくても、木が大きくなり成熟してくれば花を咲かせます。しかし、小さな庭では木の大きさにも制限があります。美しい樹形を保ったまま花を咲かせたり実をつけさせたりするためには、剪定が必要です。また、剪定しないで放置し、枝が混みすぎると、光が当たらないために花芽ができにくくなります。

3. 庭全体のバランスを保つ

樹木は種類によって生長速度に違いがあります。また、剪定せずに放置しておくと枝が重なり合って庭の美観が損なわれることもあります。剪定や整枝によって生長を抑え、庭全体のバランスを保つようにします。

4. 木の健康を保つ

樹木は、枯葉が茂りすぎると、木の内部に風や光が届かなくなり、内側の葉が枯れてしまったり病気が出たり、害虫がついたりする原因になります。定期的に剪定して光や風を入れてやるようにすると、樹木の健康も保たれます。

5. 木を若返らせる

樹木の枝は年とともに少しずつ古くなり、色も変化してきます。剪定や整枝によって、そうした古い枝を取り払い、新しい枝を伸ばすようにすることで木を若返らせることができます。



放任した樹木には危険がひそむ

・剪定や整枝などの手入れをしないまま、木が伸び放題になった庭は住まいとの調和、庭木どうしのバランスが崩れてしまいます。また、都会では、放任した枯葉が近隣の庭まで伸びていたり、日陰をつくったりして迷惑をかけたり、町の美観を損ねたりすることにもなりかねません。

・自然の山に生えている木は剪定をしなくても、日陰になって枯れた枝を、自ら落としています。街路樹でも、台風のあとなどに古い枝が折れて落ちていることがあります。庭木の場合も同じで、放任して伸ばし放題になった木から突然枝が落ちて人がケガをすることがあります。

剪定によるトラブル

剪定・整枝は時期を守ることが大切です。剪定や整枝をしたために花が咲かなくなったり実がつかなくなるトラブルはよく起こることです。花や実を楽しむ庭木は、時期や花芽のつく位置などを知っておくことが大切です。

トラブル1.花が咲かない

原因 花芽がある時期に、自己都合で花芽のついた枝をきってしまう。

解決法

花芽がいつ、どこにつくのかを知りましょう。花芽のない時期に剪定したり、花芽を落とさないように剪定するポイントがわかれば、花が咲かないというトラブルは防げます。花芽ができる時期や枝のどの位置につくかなどは、植物の種類によって異なります。

トラブル2. 葉が枯れてきた

原因 剪定を放置した針葉樹などによく起こるトラブルです。針葉樹は光を好み、日陰になる部分の枝が枯れてきます。

解決法

ほとんどの針葉樹は、葉が枯れてしまったからといって堅い枝の部分まで刈り込むと新芽が出なくなります。そうなる前に透かし剪定で、樹冠の中に光が入るようにするとトラブルは防げます。

トラブル3. 実がならない

原因 花から果実に成熟している時期に剪定をすると、花は咲いても実はなりません。また果樹は、実をつけるほどまで木が成熟するのに年月を要する種類があります。

解決法

実がつくサイクルを知ったうえで、幼木のころは木の成熟を助けるため、新しい枝を3分の1程度に切るような剪定をします。

トラブル4. 枝が枯れ込んできた

原因 枝をつけ根で切らずに途中で切ると、切り口を修復するカルスという細胞が形成されず、木を枯らす菌(木材腐朽菌)が木の組織内に入り、枝が枯れ込んでしまうのです。

解決法

枝はつけ根の部分で切るのが基本です。太い枝を切ったときは、切り口に癒合材を塗っておけば木材腐朽菌の侵入を防ぐことができます。

トラブル5. つけ根で切っても切り口がふさがらない

原因 太い枝のつけ根には下側に丸いふくらみがあり、このふくらみはブランチカラーと呼ばれます。枝に沿ってまっすぐ下へ枝を切るとブランチカラーが切り落とされ、切り口がふさがらず枯れ込むことがあります。

解決法

ブランチカラーは腐朽菌をブロックしたり、切り口を修復する組織があります。太い枝を切るときは、ブランチカラーを残すようにそます。枝を少し斜めに切ると、切り口が小さくなり修復も速くなります

トラブル6. 樹形が乱れてきた

原因 放置して大きくなりすぎた木を小さくしようと、たくさんの枝を一度に短くぶつ切りにしたときなどに起こります。それぞれの切り口から細くて強く伸びる枝(徒長枝)が何本も出て、枝ぶりがボサボサになり樹形が乱れるのです。徒長枝には花芽がつきにくいので、花も見られなくなります。

解決法

毎年剪定して、大きさを保ちます。あまりに大きくなりすぎたものは、一気に小さくしようとせず、毎年少しずつ低く剪定して、数年かけてコンパクトにしていきます。



庭木の楽しみ方

香りを楽しむ

  • 剪定のポイント✂
  • 花芽の時期を知っておく
  • 花芽のついた枝を剪定するときは、花芽を残すように意識する

樹形を楽しむ

  • 剪定のポイント✂
  • 刈り込みや自然樹形など、庭の雰囲気にあった剪定方法を選ぶ
  • 管理しやすいように、コンパクトに保つ剪定にする

花を楽しむ

  • 剪定のポイント✂
  • 花芽のつく時期を知っておく
  • 花芽のついた枝を剪定するときは、花芽を残すように意識する

実を楽しむ

  • 剪定のポイント✂
  • 苗木から1~3年程度は強く出る枝を3分の1ほど切って樹形を整える
  • 実がつき始めたら花木同様、花芽に気をつける

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